人はなぜ自殺するのか―心理学的剖検調査から見えてくるもの:読書感想

『人はなぜ自殺するのか―心理学的剖検調査から見えてくるもの』
張賢徳

『人はなぜ自殺するのか―心理学的剖検調査から見えてくるもの』(張賢徳)読み終えた。

自殺に関する本は多々あるが、日本においては、98年以前と以降によって内容が少々異なる。

日本という国は、自殺研究に関してどちらかといえば無頓着な方であった。

が、98年を境に、日本の自殺者数はグッと増えた。

「鬱病と自殺の関係」について広く知れ渡るようになったのも、これ以降である。

さて、本書の内容であるが、いくつかメモしておいたのでこちらにも記載しておきます。

(※本の「まとめ」ではなく、私が気になった部分のみをメモしました。誤読誤釈もあるかもしれませんが、簡単にまとめ、且つ、私個人の感想も添えておきます。)



人はなぜ自殺するのか―心理学的剖検調査から見えてくるもの



医学モデルの確立


自殺に関して様々な要因があるが、
まずは「医学モデル」の確立が必須であり、それを軸にして対策していく。

自殺者の多くが、鬱病など、精神に関する病と関与しているというデータから。


日本人の自殺観の「二面性」


①:「自殺という権利」や「自殺の美化」など、そういった風潮が日本にあるのではないか。
②:「自殺」を隠す風土がある。

否定と容認という、相反する二面性をもっている。


心理学的剖検の一例として


精神障害の一位、鬱病。二位が統合失調症。
→ 諸外国は二位にドラッグやアルコール中毒

比較的、高齢者には鬱病が多く、若者には統合失調症が多い傾向。

「鬱病」:気分の落ち込みによって自殺する
「統合失調症」:将来への絶望など、理由をもって自殺する(※幻視・幻聴も含む)

筆者は、ドラッグやアルコールによる自殺が他国に比べて少ない理由を「アルコール耐性が外国人より弱い」、「ドラックの流通」などから述べていたが、私個人としては、自殺理由に「経済状況」が大きく関わっているという統計から判断して、「そもそも酒を買う金がない」、「外出にはお金が伴う」なども関係していると思った。また、統合失調症による自殺は「理性的な死」と関係があるようにみえる。


心理過程の階層的発達


  • 「希死念慮」(死にたい気持ち)
  • 「自殺念慮」(行動に移したい気持ち)

「希死念慮 → 自殺念慮 → 自殺行動」という階層的な発達 
⇒突発的な自殺はないのではないか?


「『死にたい』と言葉にして言えるうちは本気で死のうと思っていない」という俗説への否定。

自殺念慮および自殺行動は、そのような「希死念慮」より生ずる。


経済状況がよくなれば自殺数が減るか


  • 98年以前も2万人の自殺者数
  •  2000年以降もうつ病患者は増えている
→ 98年以前から多数存在していた
→ うつ病が広く認知されるようになった

日本社会における「生きにくさ」「ストレス」「不安」「プレッシャー」が根本にある
※終身雇用制、年功序列の崩壊。過労死、成果主義など。


***


以上、簡単ですが本を読んで感じたことです。

個人的に最も印象に残ったことは、「統合失調症」に関して。

これはうつ病とは異なる。

うつ病と比べて、統合失調症はまだまだ認識が薄く、また、その発見が難しい。(自分や周囲の人も含め)

今後の日本の自殺問題に関して、統合失調症は関わってくるのではないかと感じた。

それと

①「自殺に対する容認や賞賛、寛容さ」
②「タブー視」

という自殺観の二面性に関して、現代の若者は、この②の意識が薄くなってきているのではないかと思う。

①が濃くなっているわけではない。

精神的な病気になった際、現代の若者は、精神科などの病院に行くが、

年配の方は、少々抵抗があるのか、行かない人がいる。(というデータが本書にも記載されていた)

自殺や精神病というものに対する「タブー視」「抵抗感」が、時代とともに薄れてきているように思う。