RADWIMPS『DUGOUT』の歌詞にみる象徴的適応
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『詩人・評論家・作家のための言語論』 |
よーし、ブログ書きますか。
(※タイトルの内容は、後半です)
吉本隆明さんの『詩人・評論家・作家のための言語論』を読んでるんですけど、ウィルヘルム・ライヒっていう、フロイトさんの弟子がのってて。
その人、こう言うんだそうです。
出生の際、人間は大きなストレスを受ける。
胎内と異なる世界に出ること、温度環境の違い、肺呼吸への転換など。
人間にとって、出生はたいへんな激変で、そのときに受ける生涯やこころの傷は絶対にまぬがれない。
そして、その衝撃は無意識の部分に残る。
出生は、水の生物が陸上にあがるようなもんだ、と。
そりゃあ、すごい環境の変化だよね。まぁ、たしかに。
出産外傷論
で、ネットでこれについて検索したら、こんなんでてきました。
『出産外傷論』っていう、ことば。
あんまね、“外傷”って、不適切な感じもするけどね...(^_^;)
読んでておもしろい内容だったから、ちょっと長いけど、一部引用させていただきます。
(難しいと思ったら読み飛ばしていただいて…)
・神経症の病因は出産に際しての、心理的身体的不安あるいは外傷に基づくものである。母体という庇護された世界から外の世界に産み落とされた事による生理的ショックと、それに由来する心理的外傷が最大の病因である。
・この事は個人の母胎に対するイメ-ジを二様に規定する。まず故郷喪失感と母胎内回帰願望。同時にこの回帰願望を直接充足させようとする試みに際して起こる、過去の外傷に基づく不安の再発。すなはち、個人は失われた故郷である母胎に対して正反二つの感情を抱く。
・従って個人は直接には母胎に回帰できない。その代償として個人は母胎の代理物を生誕後の人生の中で作り上げていかなければならない。芸術・宗教・学問をはじめとして人生における生の営みは、母胎と言う原初的世界を想像的に作り上げる事であり、この想像の中で個人はしばしのやすらぎを得ることができる。この過程を象徴的適応という。
まぁ、最後は「芸術」の話になってるんだけど(´・ω・`)
おもしろい内容だね(´・ω・`)
どういうことか?って、
うん、いまから、ボクなりに簡単に書いてみるけどさ、
最初に書いたけど、産まれるときにね、環境がすごい変わるじゃないですか?
んで、「胎内に戻りたい、けど、戻れない」となる。
胎内は故郷みたいなもので、落ち着くってこと。
陸じゃなくて、やっぱり水の中に戻りたいーって。もともと水生生物だったし!って。
でも戻りたくても戻れないよね、お腹の中には。
でー、それを、
胎内に戻りたいキモチを「母胎内回帰願望」、
戻れないキモチを「故郷喪失感」というふうな言葉で言ってるんだよね。たぶん。
はがゆい、ってこと。
そいつをうまく納得させるのを「象徴的適応」つって。
んで、芸術・宗教・学問による「創造」が、ジレンマ解消にいいんじゃないの?って。
RADWIMPS『DUGOUT』の歌詞
あれ?そういや、たしかRADWIMPSの曲に、それっぽい詞があったなぁ。
あ、これか。『DUGOUT』って曲だ。
お腹のへその緒がとれた時からもう人は皆迷子
喩えて言うならそれはまるで
紐のとれた凧が空に羽ばたく様
最近よく戻りたくなるよ 産道通って還りたくなるよ
でっかくなって戻って来たよと 言って
探したって居場所はないよ そんなもんどこにもない
ここにあるのは見渡す限りの 宇宙だけ
ありゃりゃ。
これ、まさに「母胎内回帰願望」と「故郷喪失感」だ。
で、それを、ロック、音楽、芸術の分野で表現しようとしているね。
「象徴的適応」を感じさせる歌だね。
“DUGOUT”っってのは、「待避壕、防空壕」、安全な場所って意味だけど、なるほど、
DUGOUTって、これつまり、「胎内」のことを意味してるんだね。
RADWIMPSの恋愛の歌詞に、なにかこう、女々しさがあるのは、母体内回帰願望が濃ゆいからかもしれないね…。厨二的な部分も含め。
***
さ、ここからはRADWIMPSの話。
もう、個人的な話するよ、いまから。ブログの中だけフリーダム、フクモリです(@ryotaism)。
RADWIMPS・野田さん。
こういうふうにさ、「詞の背景に学術があるよね」って。
ちらっちら、垣間見えるんだよね。
でもさ、そんな硬さを感じさせないよな。
ん~、うまくロックンロール、音楽に溶けこませてる。
「勉強しなきゃ詞は書けない。が、勉強してなくてもロックの詞はわかるものだ」
そんなメッセージを僕は受け取ったよ。
でもね、初めて彼の詞を読んだ時、
「ついに、クラスにいる秀才がロックを始める時代になったか」
と思った。
ガリ勉のクラス二番であった僕等や、不良であった僕等は、正直、悔しかったんじゃないかなぁ。
ボクは、なんか、悔しかったな。
まぁ、今日はこんなところで。
おもしろいと思ったら、また読みに来てよ、先輩。
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