キングオブコント見てたんですよ。

胸が熱くなりますね。

本気で「売れたい」と思っている人たちを見ると。

彼らは堂々と「売れたい」と明言する。


たまにいるじゃないっすか。たとえば音楽やってる人とかで。

「一人に届けたい」とか言って、かと思えば、 「一人でも多くの人に届いてほしい」とか言って。

矛盾しているんだよな。どっちなんだよって。

たくさんの人に届かなきゃ敗北なの。動員できなきゃ敗北なの。そして敗北したら辞めなきゃいけないの。

でもそんなこと言っても関係ないんだよね。

だって彼らは『趣味』でやってるから。

趣味は一生続けられる。

でも仕事は売れなきゃ辞めなきゃなんない。

彼らは音楽を仕事にしたいんじゃない。

仕事という意識をもって取り組んではいない。

“音楽という趣味を一生懸命がんばっているだけ”。

現に趣味だから、“売れていなくても”続けられているんだよね。

仮にもし仕事だったら、無理だから。

「仕事」は売れなきゃ倒産、強制的に終了だから。

だから「趣味なんです」と言おう。音楽が大好きなら、その気持が大事さ。だから今後は「趣味です」と公言しよう。それならば私は何も言えない。むしろごめんなさい。

え?「いずれは『仕事』にしたいと思っている」って?

それについては後述するよ、「でも本気では思っていないよね?」って。


音楽に対する悪趣味なヘイトスピーチはここまでにして…。

キングオブコントを見て、彼らはわかっている。

趣味で『お笑い』はできない。

『お笑い』を仕事にしたい。

というか、『お笑い』に「趣味」という選択肢はない、「仕事」という選択肢のみ。

その思いが、「売れたい」という言葉で現されているんじゃないか。

売れなきゃ終わり。趣味とは違う。



「売れたい」とは何か?



芸人さんが「売れたい」という時。

そもそも「売れたい」ってなんなのさ?

  1. 「何を売るのか」
  2. 「どれだけ売るのか」
  3. 「何をもって“売れた”といえるのか」


1.「何を売るのか」

「自分」だよね。あるいは自分の技術。

自分自身を商材にしている。


2.「どれだけ売るのか」

売る相手はもちろん、客だよね。大衆。

で、できるだけたくさん。多く。

「少し」じゃダメ。

「少し」では、『売れる』とは言わない。


3.「何をもって“売れた”といえるのか」

「お金」と「知名度」だよね。

このふたつ。いずれも「数字として計れるもの」だ。



シンプル、ゆえにハード



考え方と取組みの姿勢がシンプルなんだよ、非常に。

芸人さんは、このシンプルで直球、誰にでも分かる上記1~3のステップを理解し、「売れたい」と云う。

が、シンプルゆえに、逃げ道がない。

  • 自分を多くの人に売る → お金と知名度を得て仕事にする

この一本道しかない。

ゆえに、その道がふさがれたらTHE ENDという。

それが「仕事」の世界、「仕事」として取り組むということ。

趣味はいくらでも逃げ道ある。だから続けられる。



仕事ではなく趣味でやっている人たち



ボクがこう言えば、キミはいつもこう返す。

「いずれ『仕事』にしたいと思っている、だから『趣味』じゃない」って。

しかし、それが「本気」かどうか、また、「仕事」とは何かをわかっているか。


たとえば、ライブ後記とかどうだっていいんだよ。

だれそれの歌がどうのこうのとか、それ単なる感想だから。

そのライブの動員数と利益、新規と既存の割合、予約率とか、そういうのが仕事意識だろう。

つまり「数字」で管理しているかってこと。

もしも、「それはクリエーターのやるべきことじゃない」と云うならば、スポンサー有りのお金持ちボンボンによる、逃げ道の保証された余裕発言だよ。

といっても、芸人さんがそこまで数字で管理しているとは思わない。

が、大事なのは、「数字の意識」をもっているかということ。

「数字として表れなければ終わり」という危機感を持っているか、「仕事とはそういうもの」と認識しているか、ということ。

キングオブコントにでてる、“まだ売れていない芸人”にはそれがある。

それは「趣味」ではなく、「仕事」の意識に他ならない。

数字というシビアな世界に身をおき、また、それを自覚している。


数字で示せないクリエイティブ意識による、思想のゴリ押し。

そんな「趣味の価値観」だけでやっているなら、

仕事として、それだけ食っていこうと“本気”で思ってはいないと、他者から言われても仕方ないだろう。

私はリアリズムが見たい。趣味ではなく。


***


「数字が仕事であり、数字が出ないなら仕事にはできない。その意識がないなら趣味でしかない」

キミはこう云う。

「音楽って、空気を伝わって――、目にみえないんだよ、目に見えないものが音楽なんだよ。数字の世界ではないんだ」

うん、私もそう思う。

でもあまりおもしろくない。

じゃあまた。