ライブ告知するブログがつまらなくて悲しくなる理由
「えらそうなことばっかり言いやがってクズが」ということを今から書くので、タイトルの時点で不快な人は、【戻る】を連打して下さい。
……さて、先日、こんなブログを見かけた。
タイトルは、『2月のライブ告知』。
おい、タイトルの時点で読む気が80%減ったぞ。
釣れ、せめて釣ってくれ。
想像がついてしまう。
【イベント名】
日付:●●● OPEN~
場所:△△△ 最寄り駅~
共演:■■■
ワンドリンクどうのこうの
(ああだこうだ思いを述べたのち)がんばるのでよかったらぜひ!
声を大にして言いたいので、フォントサイズを変えてみる。
もういい!!もうそんなブログはいい!!!!
ライブ告知の“文面のおもしろさ”はどこにある!?誰かがこれを読んで、『なにこれ!超オモシロイ文章!』と思うとでも思ったか!?なんだこのテンプレは!表現者として、この文面はなんだ!!一体なんなんだコレは!!!!
超絶短気なボクは、パソコンの画面を頭突きで叩き割ってしまいそうになった。代わりに、ツイートをした。
「ライブ告知」という報告は確かに有益ではあるけど、なんら面白い文面ではないし、歌い手の“横顔”をブログではみたいのであって、正面の“歌の顔”は特段求められていない。
— 福森亮太 (@ryotaism) 2014, 1月 27
ファンであるから、ライブ告知のブログをとりあえずリツイートする。が、本当は、「自分の好きな歌い手はこんなに素敵な人だよ」と伝えたくなるようなものをリツイートしたい。ライブ告知なぞ、押し付けがましさもあって、本当はあまりリツイートしたくない。
— 福森亮太 (@ryotaism) 2014, 1月 27
“表現者の言葉は想像を咲かせる種”、たとえブログであっても。
嘘でもいいから、おもしろい文章を書いてくれ。いや、書けなくてもいい、ただ、書こうとしてくれ。その姿勢だけは見せてくれ。
いつどこでライブがあるか?ライブ告知、
あなたは、この文面がおもしろいと思って書いているのか??
「歌は別だよ。歌は本気だよ。つーか、ライブこそが本番だから」って?
たとえブログであっても、
歌い手が、表現者が、その口から、“言葉をこぼす”んだ。
それは確かなキミの言葉なんだ。アーティストである「あなたの言葉」なんだ。
表現者であるあなたの言葉ひとつひとつが種なんだよ。ファンにとって。
キショイことを言うけれど、想像という花を咲かせる種なんだよ。
あなたは、あなた自身の言葉を軽んじているんじゃないか?
たとえブログであっても、表現者であるキミの言葉は、“表現者としての言葉”なんだよ。クリエイティブな人間が吐いている言葉なんだよ、それは。
再度問う。
「ライブ告知」の文面は、おもしろいか?おもしろいと思って書いているのか?
淡々とライブ告知だけがなされる文面を読んで、ボクは一方的に悲しくなった。身勝手に、我侭に、悲しくなった。
これがキミの文章か、表現者であるキミの文章なのか。
ブログでは“正面の顔”ではなく“横顔”をみせる
いや、たしかにいるだろう。
「ブログでライブ告知してくれてありがとう!」という人もいるだろう。
でも、それは情報を提供してもらった『ありがとう』だ。
「ライブ告知」という報告は有益ではある。
でも、ボクはこう思っている。
読者は歌い手の“横顔”をブログでみたいのであって、正面の“歌の顔”は特段求められていないんじゃないか。
ファンってのはそういうもんだよ、たぶん。
その人の歌が好きで、やがて、その人自身を好きになって、その人の頭の中が知りたくて、時に真似をして、時にライバル心をもって、その人と近づこうとする。その人に“近づきたい”と思う。
そしてファンになる、“実際にあなたがいるライブに行く”。
ライブでは、あなたの歌だけを聴きに行くんじゃないんだよ。
あなた自身に会いに行く、会える、そんな気持ちなんだよ。
(このへんの詳しいことは別の記事でも書いた「ファン心理とは何か?ライブに人が来ない本当の理由」)
思い出してほしい。
あなたが初めて、大好きな歌い手のライブに行った日のことを。
ライブ前日、あなたはこう思っていたんじゃないか?
「聴く」というよりも、「会える」というワクワク感が先にあったんじゃないか?
「ライブ告知」というブログ。いいと思う。
でもね、あなたの横顔、“素顔”がそこにあるのか?
『オレは音楽をやる人間だから、音楽だけでいい。音楽以外のことは述べない』
そんなこというなよ。
ファンであるボクは、あなたの音楽だけが好きなんじゃない、ボクが好きな音楽を作っている“あなた自身”を好きになっているんだ。
一見、音楽と関係のない話であっても、突き詰めてみると、根底でそれは、あなたの歌とつながっている。
あなたの言葉は、あなたが作る音楽とつながっている。
だから、あなたの音楽を聴くときと同じように、あなたの言葉に注意深く耳を傾ける。
ファンは、あなたが作る音楽を含め、“あなた自身”に惹かれている。
これはボクの趣向でもあるけど、ブログって、そういう場所でもあるんじゃないか?
真剣である歌とは別の、“横顔”が垣間見える場所であり、あなたがあなたの“隙”をみせる場所なんじゃないか。
“隙”、あなたのような素晴らしい歌を作れない一般である私たちが、いくらか歩み寄れるような、等身大がもつ“隙”。
はたして、“ライブ告知”がブログのもつポテンシャルなのか?アーティストのブログの魅力とその活用は、もっと別のところにあるんじゃないか??
さらには、前述したように、ブログって、やっぱなんだかんだ、“自己表現の場所”、いや、“自己表現となってしまう場所”。
それを理解しているから、又、それが面倒であるから、ブログをやらないアーティストもいる。懸命だと思う。真摯だと思う。
冷淡なライブ告知という文面―――
ボクは音楽だけを突きつけられた。ただ、音楽という字面の情報を。
ボクは我侭なファンだ、突きつけられた文面を、こうしてそのまま突き返してしまう。
***
ファンであるから、ライブ告知のブログをとりあえずリツイートしてみる。多くの人に知ってもらえたらいいなと思うから。
でも、本当はね、「自分の好きな歌い手はこんなに素敵な人だよ」と伝えたくなるような、あなた自身の言葉を、誇らしげにリツイートしたいんだ。
ライブ告知なんて、押し付けがましさもあって、本当はあまりリツイートしたくないんだよ。
ねぇ、先輩、
ボクはまた、読んでくれるかわからないこんなところで、先輩に向かって文章を書いている。
一生、読まれることのない手紙かもしれない。
読まれたとしても、あなたはゴミ箱に捨てるかもしれない。
「このストーカーファンが」って。
でも、ありがとう。
こんなこと言いながらも、「ライブ告知してくれてありがとう」って言ってしまうくらい、たとえライブ告知であっても、『あなたの言葉だ』とボクは喜んでしまう。それほどに、あなたの歌に救われてしまったんだ。
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