洋画というものをあまり見ない。

そのかわり、邦画をよく見る。

自分が今まで観てきた中で、『おすすめしたい邦画』を15本ご紹介します。

すでに観たことのある作品もあるかと思いますが、誰かの何かの参考になれば幸い。

※あくまで私の好みですので、あしからず。



『月光の囁き』



高校生の日高拓也と北原紗月。それまで、互いに好意を持ちつつ仲のよい友だちとして振舞っていた二人だったが、ふとしたきっかけでよ うやく恋人に発展。自転車二人乗りでの登校、図書室でのデートといった交際に喜びを感じていた紗月に対し、拓也はそうした普通の恋愛では満たされない想いがあった……。

出演:水橋研二、つぐみ
第14回高崎映画祭 最優秀新人女優賞(つぐみ)、ゆうばり国際冒険ファンタスティック映画祭 審査員特別賞、南俊子賞日本映画プロフェッショナル大賞 新人監督賞

先に言っておきます。

何作かこれから紹介していきますが、自分の中でダントツの邦画はこちらです。これだけは別格です。

子供の頃は洋画も観ていたのですが、高校生の時にこの映画と出会って以来、邦画ばかり観るようになりました。

「好きな映画は?」と聞かれたら、私は一番にこの映画をあげます。

内容についてはふれません。とにかく観てほしい一作。

知る人ぞ知る名作と化しており、残念なのですが、私の中では未だに一番好きな映画です。(ちなみに原作漫画も素晴らしい)



『害虫』



日常から切り離され、中学をドロップアウトした少女の物語。

出演者:宮崎あおい、田辺誠一
2002年日本映画プロフェッショナル大賞作品賞・監督賞受賞。2001年ナント三大陸映画祭コンペティション部門主演女優賞(宮崎あおい)&審査員特別賞受賞。

『月光の囁き』と同じ、塩田明彦監督の作品。

宮崎あおいさんが、今よりも知名度の低かった頃の、映画初主演作です。少女のビミョウな心の動きを、見事に演じています。

また、向井秀徳さん(NUMBER GIRL)による、挿入BGMがとにかくスバラシイ、カッコイイ。最近では『中学生円山』でも手がけていましたね。



『さんかく』



自意識過剰?のダメ男・百瀬は、恋人の佳代と同せい中。そんな二人の元に、ある日、夏休みを利用して佳代の妹で女子中学生の桃がやってくる。
恋人の妹に胸キュンな30男の百瀬。イマドキの女子中学生・桃。カレへの愛情を間違えた方法で表現してしまう29歳のイタイ女子・佳代。ひと夏の奇妙な三角関係、絡まり合った3人の恋の行方は…?

出演:高岡蒼甫、 田畑智子、小野恵令奈
第2回TAMA映画賞最優秀作品賞、第25回高崎映画祭若手監督グランプリ、新藤兼人賞2010年度銀賞、第20回日本映画プロフェッショナル大賞主演男優賞(高岡蒼甫)

「おすすめの邦画は?」と聞かれたら、最近はこの映画をあげている。万人が楽しめる内容だと思う。

田舎を舞台としているところが良い。ド派手なセットなどいらない、ビミョウな人間関係、距離感を描いている。

"イタい男"を演じる高岡蒼甫さんが実にハマっている。途中、田畑智子による狂気的なワンシーンに驚いた人は多いだろう。



『ヒーローショー』



気弱な専門学校生ユウキが始めたアルバイトは、ヒーローショーの悪役だった。
ある日、バイト仲間のノボルが、ユウキの先輩の剛志の彼女を寝とってしまったことから、彼らは舞台上でリアルに殴り合いを始める。それだけでは収まらず、剛志は悪友たちを招集しノボルらをゆすろうとするが、ノボルたちも自衛隊上がりの勇気(ユウキ)を引き入れ報復にでる。
次第に彼らの暴走はエスカレートし、ついには決定的な犯罪が起きてしまう…。

主演:ジャルジャル

いや、こちらも本当におすすめです。

井筒監督の中では、この作品が最も好きです。

もし、ナイティナイン主演の『岸和田少年愚連隊』(井筒監督作)が好きならば、この作品も楽しめるはず。

品川監督の『ドロップ』とセットにして観ると、余計にこの作品の意味と価値がわかる。

ちなみに、宇多丸さんのウィークエンドシャッフル『2010年 全映画ランキング!』2位です。

『パッチギ!』も大好きな映画ですが、こちらも見逃せない作品となっております。



『ノロイ』



東京にある一軒家の火災。なんの変哲もなさそうなただの火災だったが、出火原因は不明でしかもその家の主人の遺体が見つからないという不思議な事件だった。その家の主人である小林は消息不明。居酒屋に入ってきて謎のノートを渡すと、ふらふらとどこかへ行ってしまった。これが小林の最後の目撃情報だった。そしてそのノートに記された内容は、とてつもなく恐ろしいものだった。

出演:松本まりか、荒俣宏、飯島愛

ホラー邦画ばかり観ていた時期がある。

中でも、この『ノロイ』という作品は怖かった。観終わった後の嫌な余韻は未だ覚えている。

ドキュメンタリー展開で話が進むのだが、無論、フィクションである。が、とにかくリアルに、丁寧に作りこまれている。

この作品に関しては、正直いうと、「合う人と合わない人」がいる。

ある程度、ホラーを観ている方のほうが楽しめるのではないかと思う。



『ラヂオの時間』



鈴木京香が演じる主役のみや子は、ラジオドラマの脚本コンクールで自作が採用された。ところが、放送直前になって主演女優が役名に不満を言い始めたことから、スポンサーやほかの出演俳優も次々に注文をつけだす。プロデューサーやディレクターは唯々諾々とそれを受け入れ、シナリオはどんどん書き替えられていく。怒ったみや子はスタジオに立てこもるのだが…。

出演:鈴木京香、唐沢寿明、西村雅彦

三谷幸喜さんの初監督作品。

私の中で、三谷映画といえばこれです。笑えます、本当に笑わせてもらいました。

ベルリン映画祭にも出品され、三谷監督曰く「ドイツ人がこれほど笑うところを見たことがない」、らしい。

「登場人物の中でだれが好き?」といった会話が弾む作品。



『竜二』



それなりに顔を知られたヤクザの竜二は、ある日妻子のためにカタギになる決心をする。しかし、マイホームの平穏な暮らしは、やはり彼にとって物足りなくて…。

スターになることを夢見て本作の脚本を記し、念願の映画初主演を果たしつつも、作品完成直後にガンでこの世を去った伝説の映画人・金子正次の熱意に満ちた秀作。

何かのテレビ番組で千原ジュニアさんがお薦めしていて、つられて観たのがきっかけ。

"昭和臭"が全体的に漂っており、すごくいい味がでている。

変な意味ではなくて、「男が好きな『男』」は一度観てみるといい。金子正次さんによる、まさに迫真の演技。男の、胸が熱くなる一本。



『羅生門』



タイトルは芥川の『羅生門』。ですが、ストーリーは芥川の『藪の中』。

邦画といえば、避けて通れない作品ではないでしょうか。

赤ん坊が泣いているシーンは鮮烈で、脳裏に焼き付いている。

白黒映像ですが、迫力があって、三船敏郎さんの演技は、"THE 役者"、こういうのが本物の役者なんだろうなと、思わず唸ってしまいました。



『家族ゲーム』



高校受験を控えた息子のために雇われた風変わりな家庭教師の出現によって、家族のありようが次第に変化していくさまを描いた、森田芳光監督のホーム・コメディ。
横一列に家族が並んで食事する風景に代表されるように、きずながあるようでどこか薄い現代家族のとらえ方がユニークかつ秀逸。

松田優作さんの映画で、初めて観た作品がこれです。存在感が圧倒的。

ワンカットの食卓シーンあるのですが、じれったく、妙に生々しくて、強く印象に残っています。

最近では、この作品をもとにつくられた、櫻井翔主演のドラマ『家族ゲーム』が話題となった。が、内容は全く異なるので注意。



『実録・連合赤軍』


  • 発売日 : 2009/02/27
  • 出版社/メーカー : CCRE

“『革命』に、すべてを賭けたかった・・・・・・”
革命を叫ぶ若者のそばから1972年の連合赤軍・あさま山荘事件に迫る人間ドラマ。
テレビ視聴率89.7%、日本中の目を釘付けにした「あさま山荘」の内部では、一体何が起きていたのか。
彼らはなぜ、山へ入り、同志に手をかけ、豪雪の雪山を越え、あさま山荘の銃撃戦へと至ったのか。

出演:坂井真紀、ARATA

若い世代にとっては、「浅間山荘事件」という名前は知っているけど、実情はよく知らない事件。

「こんな時代があったのか」と、現代の若者からは想像がつかない"若者像"。

実話をもとにした社会派映画ですが、ふつうに観ていても楽しめる作品となっています。

若松孝二監督には、他にも、『三島由紀夫と若者たち』といった作品があり、その時代の若者像を映画という形で残しています。貴重だと思います。



『下妻物語』



茨城県・下妻に住み、ぶりぶりのロリータ・ファッションに身を包んだ少女・桃子(深田恭子)がヤンキーのイチゴ(土屋アンナ)と出会い、数々の騒動に巻き込まれながらも強力な生き様を貫く、嶽本野ばら原作のハイパーパワフルな乙女たちの純情物語。

正直いうと、観る前はナメていました。つまらないんじゃないか…と。

が、いざ観てみると、最後まで飽きさせない展開と演出で、いつの間にか夢中になって二人(深田恭子・土屋アンナ)の関係性を追っている。

ところどころアニメーションのような演出が挿入されるのですが、これがいい塩梅に作品を飾っている。多くの映画賞を受賞した作品。

土屋アンナが苦手(?)という人にも観てほしい。



『ソナチネ』



沖縄へ助っ人に向かったヤクザの村川と北島組の面々。彼らはそこで自分たちを標的にした罠にかかったことを知る。最果ての南の島で死に怯える男たちだが、 確実に無常に、本人にとっては唐突に処分されていく。そんな極限状況の中で村川だけは都会の生活で失った感情を取り戻すかのように動き回り、刹那的な笑い や恥らいといった心の揺れを求めていく。

北野武監督の映画は、そこまで好きではないのですが、この作品だけは別です。

当時、日本ではほとんど評価されなかったらしいですが、北野映画の中では最もこの作品が"日本(人)らしい"のではないでしょうか。

『アウトレイジ』など、他にもヤクザ映画はありますが、『ソナチネ』は、海外マフィアとは異なる"日本のヤクザ"が描かれています。

ちなみに、この作品、音楽が非常に美しく、妖艶です。一度注目して聴いてほしい。(久石譲さんが手がけています)



『紀子の食卓』



田舎に住む17歳の平凡な女子高生・島原紀子は、家族との関係に違和感を覚えていたが、ある日インターネットのサイト「廃墟ドットコム」を知る。彼女はそこで知り合った女性を頼って東京への家出を敢行、「レンタル家族」という虚構の世界で生きていくが…。

出演:吹石一恵、つぐみ、吉高由里子

園子温監督の作品。

『愛のむきだし』
『ヒミズ』、園子温監督の作品は何作が観たけど、これが最も衝撃が強かった。

『自殺サークル』の続編のようであるが、単体でも楽しめる(『自殺サークル』を観て、なにがなんなのか意味がわからなかった人は、『紀子の食卓』を観れば少しは理解を深められるかもしれない)。



『桐島、部活やめるってよ』


  • 発売日 : 2013/02/15
  • 出版社/メーカー : バップ

学校一の人気者である男子生徒・桐島が部活をやめたことから、少し­ずつ校内の微妙な人間関係に波紋が広がっていくさまを描く。

出演:神木隆之介、橋本愛、大後寿々花
ヨコハマ映画祭(最優秀作品賞)、TAMA映画賞(最優秀作品賞)、毎日映画コンクール(日本映画優秀賞)、他多数。

原作は、朝井リョウさんの小説。

“青春映画”にカテゴライズされるのかもしれないが、近年の青春映画にありがちな、若さ(フレッシュさ)や熱さを全面に出した作品ではない。

「青春映画って苦手…」という人ほど観てほしい。ミステリー要素もあって、物語の構造は結構複雑です。

タイトルにある“桐島”という人物は、一部を除いて、ほぼ登場しない。桐島というクラスの人気者、その"周辺"を描いている。

監督は、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の吉田大八監督。



『人間失格』



幼少期より自意識にまみれ、世間とうまくなじめない青年・葉蔵。不安や迷いを抱えながら彷徨う葉蔵が向かうのは、いつも酒であり、女たちだった。
さまざまな女たちとの恋に身を投じながら、葉蔵がたどり着く先には、一体何があるのか――?

出演:生田斗真、伊勢谷友介、石原さとみ

いうまでもなく、太宰治原作。

太宰原作の映画は何作かあって、正直いうと、『人間失格』よりも、『ヴィヨンの妻』『パンドラの匣』のほうが好きです(松たか子さんや、芥川賞作家・川上未映子さんの名演が見どころ)。

けれど、太宰原作の映画、その「入り口」としてはこの作品が最も親切だと思う。極力、万人が美味しく食べられるように味付けされている。映像が美しく、登場人物にも華がある。ちなみに、森田剛さんが中原中也を演じているのだが、これが意外にも(?)悪くない。

が、やはり、『人間失格』を観た後は、『ヴィヨンの妻』『パンドラの匣』も観てほしいのが本音です。


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以上、私がオススメする邦画15作でした。

それぞれの予告映像をYoutube再生リストでまとめたので、よろしければ、こちらも御覧ください↓


それでは。@ryotaismでした。