「プラス思考」や
「ポジティブシンキング」と呼ばれるものを、嫌っていた時期がある。
そういうの、なんだか嘘くせぇなぁ、と。あるいは、何でもかんでもプラス思考に考える姿勢、バカっぽいなぁそれ、って。
否定していたんですね、「プラス思考」や「ポジティブシンキング」とか、そんなふうにはなりたくないって。
もっと現実的になろうぜって。
『プラス思考やポジティブシンキングとか、そういうので誤魔化すのはやめようぜ』
と、そんなふうに思っていたんです。忌み嫌ってました。
で、現実的になって、懐疑的になって、少しずつネガティブになって、さらにはペシミスティックになって――ずるずると"負の方向"に流れていった。なんなら、ネガティブなほうが美しいと思っていた時期もあった。悲劇的であるほうが芸術的である、と思っていた時期もある。
いや、いいんです。それはそれでよかったと思う。
性格やや暗めで、ネガティブに考えがちな自分、いいんですよ、ぜんぜんいいんです。
でもね、最近ボク思ったんです。
歳を重ねるごとに、もたなくなってきたんですよ。
「これ、やばくないか?」って。
「ネガティブ思考のままじゃ、この先、生き抜いていけないんじゃないか?」って。
若いうちは、それでよかったかもしれない。
でも、30歳を越えると、もたないんです。ネガティブ思考じゃもたないんです。
「一体何がもたないのか?」と聞かれると、うまく答えられないんですが、色んなものが維持できなくなる。
例えば、心とか、肉体とか、将来とか、希望とか……色んなものが維持できなくなる。プラス思考になんなきゃ、維持できなくなる。
と、最近そう思う。