クアラルンプールの夜長に読書を…。
わけのわからない、かたくるしいブログが続いたので、ソフトな内容でも…。
昨晩、なかなか寝付けなくて。結局、本を3冊読んでしまった。
スマホのKindle、便利ですね。海外にいても、いつでもどこでも本が読めるし、そして買えるというのだから。おそろしい時代です。
では、3冊とも大変面白かったので、ちょっと紹介しておきます。
嘘つきアーニャの真っ赤な真実(米原万里)
知っている方もいるかもしれませんが、噂に違わない、面白かったです。Amazonの評価も非常に高いですね。
ちょうど海外にいるからなのか、余計に心に響きました。
1960年、プラハ。小学生のマリがソビエト学校で出会った、個性的な友だちの話。背景には、共産主義に振り回された激動の時代がある。ノンフィクション小説。
やや文量があるのと、政治に関する記述があるので、さくっと読み終えられる本ではない。
“人類みな兄弟”なんて言葉ありますけども、そんな簡単な話じゃないな、と、あらためて気付かされます。
が、読後に感じたのは、やはり、「なんとかひとつにならんもんかな…」という“願い”でしたね。
これ、「道徳教材になるんじゃないか」と思わせるくらい、健全な良書だと思いました。そう考えると、中高生が読んだほうがいいかもしれないな。
黒猫(エドガー・アラン・ポー)
これは短い作品ですよ。30分で読み終えられますよ。それでいて、なかなかの満足感を得られる“お得な小説”です。しかも青空文庫なので無料です。
妻と一緒に可愛がっていた一匹の黒猫。だが、精神をむしばまれた男は、その猫を虐待するようになり、発作的に殺してしまう…。――という、ちょっとホラーなお話。
“天邪鬼が人間の心の原始的な衝動の一つ”、と、書いている。しびれましたねぇ、この文には。
天邪鬼ってのは、「やっちゃいけないことをやってしまう」「あえて逆をやってしまう」ということ。それを“原始的な衝動”といった。
ところが、それに準ずるとどうなるか――破滅です、間違いなく。この小説の主人公のように。
だから決して、本能である“天邪鬼”には、従ってはいけない。が、しかし、いけないと思えば思うほど…
――と、考えたら、この小説めちゃめちゃ怖いんですね。猫の虐待や殺人シーンが、この小説の恐怖の本質ではないと、ボクはそう感じました。
すぐに読み終えられるのでおすすめですよ。
駈込み訴え(太宰治)
ひさしぶりに太宰治を読みたくなったので。これまた短い作品です。青空文庫、無料です。
キリスト教の“ユダ”の、心のゆれ動きを綴った一作。ユダの中にあるキリストに対するアンビバレンツな愛憎を、切実に心理的に表現している。
文体が、“告白体”ですので、ノンストップで読み通せます。堅苦しい表現もほとんどないので。
ユダとキリストの裏舞台が、もし本当にこんなんだったら――と思うと、面白みのある作品です。想像力が豊かでないと、とてもこんな作品は書けないだろうと思います。
最低でどうようもないヤツなのですが、何かこう、、、ユダに肩入れしたくなるのは私だけでしょうか…。
とにかく最後まで飽きずに面白い、「さすが太宰治」と思わせてくれる傑作です。
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ということで、以上です。どれも面白いのでおすすめですよ!
ではまたー。@ryotaismでした。
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