ドラマ『ゆとりですがなにか』がおもしろい――“世間とゆとり”とのやりとり
日本テレビでやっている『ゆとりですがなにか』 というドラマをTVerで毎週無料視聴しておるのですが、これおもしろいです。
そもそも、“ゆとり”とはなんぞや?
――いや、実のところ僕にもよくわからんのですが、本ドラマにおいて、或る“ゆとり社員”が、上司に向かって次のようなことを言います。
「その飲み会、強制っすか」
「先に言っておきますが、褒められて伸びるタイプなんで」
実際こんなヤツがいるのか? “ゆとり世代”と言われる者、皆が皆、こんなはずがあるまい。
というかそもそも、“ゆとり世代”だとかって一括りにするのはどう考えても無理があるよな、と思います。
でもって、“ゆとり世代”という言葉は、賛否、どちらかというと“否”の意味合いで使われることが多くて、言われる側の気持ちを忖度すると、これはたまったもんじゃないだろうなと思います。
が、とりあえずそういう話は一旦おいといて――。
おもしろいんですよね。
「その飲み会、強制っすか」
とか、もうね、一周まわっておもしろい。おもしろいと感じる。
そりゃむろん、当事者、自分が上司だったら、『いや、強制じゃないよ。強制ではないけど……あ、うん、ごめん、もし強制しているように感じたならごめんよ』となって、たじろぐ、あるいは、『その言葉を言われる側の気持ちを推し量れ』と、厳しく突き返すかもしれない。
でも、外からみるぶんには、そういった、“世間とゆとり”とのやりとりって、なんか、存分に鑑賞ができるんですよね。みていておもしろい。世代間コント、世代間の漫才みたいで。ちょっとだけ、ボケとツッコミの構造に似ているよなぁと。
「先に言っておきますが、褒められて伸びるタイプなんで」
褒められて伸びるタイプです、だけならまだしも、“先に言っておきますが”という枕詞を入れてしまうところ。余計でしょそれ!
無論、これは脚本家である宮藤官九郎さんの巧みな魅せ方、術中なんでしょうが――実際にこんなことを言う人がいたら、俺、笑っちゃいますよ。ファンにはならないけど、お客さんになる。舞台を観る客側となる。
ドラマ『ゆとりですがなにか』って、“世間とゆとり”とのやりとりのおもしろさを描いているんだろうと思う。
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そんなわけで、“ゆとり“について、別に否定も肯定もない。
また、最初にも書いたけど、そもそも、“ゆとり”が一体なんなのか、僕自身よくわかっていない。というか、そんなの、あってないようなもんじゃないか、と思っている。 一体だれが、“ゆとり世代”の特徴を明確に説明できるのか、そしてそれを証明できるのか。
“ゆとり”について、実のところ、だれも確かなことはわかっちゃいない。実態がつかめない、というより、そもそも実態なんて無いんじゃないか。
“ゆとり”という存在、これってきっと、ほとんど想像なのであって、そんなもの、あってないようなもの。ちょっとした要素を拾って作り上げた、想像によるもの。フタを開けてみれば、どこにも見当たらない。ありそうで、どこにも無い。
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……ちなみに、“ゆとり世代”、“ゆとり社員”について、僕個人(32歳)がこれまでの経験のなかで思うことは、
『どこが“ゆとり”なんだよ……皆、俺よりぜんぜんしっかりしているし、賢いし器用だし、将来を見据えて働いているし、なんか聞いているぜんぜん違うじゃないか!』
と思うばかりで、ただただ焦る。@ryotaism
