「ひとりじゃない」、しかし、「ひとりだけじゃない」問題
SNSがある種のセーフティーネットとして機能している。
〝助けて〟と叫べば、実際に助けてくれることがある。
悩み事を共有(シェア)すれば、同じ悩みを抱えている人から返事がくることがある。
「悩んでいるのは自分だけじゃない」――インターネットのおかげで、それを知ることが出来た。
傷ついているのは自分だけじゃない。
「自分はなんて不幸なんだ」と思っていたけど、同じ人は世の中にたくさんいる。それどころか、自分より大変な状況の人がいる。
インターネットはそれを教えてくれた。
「悩んでいるのは私だけじゃない」
〝ひとりじゃない〟
――しかし、その反面、『一人だけじゃない』と知ってしまった。
『自分だけだと思っていた』ことに密かに抱いていた自尊心はなかったか?
インターネットは、「ひとりじゃない」ことを教えてくれたが、「ひとりだけじゃないこと」を突きつけた。
「それはオリジナルの悩みではない。それはあなた固有の不幸ではない。とてもありふれたことで、それは決して、あなたの個性ではなく、特別なものではない」
『死にたいと思っているのはお前だけじゃない』――これは救いの言葉であるが、少々残酷でもある。「せめて私だけの、固有の死であってほしい」という願いを否定するからだ。
インターネットのおかげで、「ひとりじゃない」ことに気づけた、しかし、「ひとりだけじゃない」ことを知ってしまった。
それは幸せなことか、どうだろうか。
URL:https://youtu.be/NR9rFNfgcq8
YouTubeチャンネル:『365の話。』
ではまた。@ryotaism
