“「孤独ではないこと」を「幸せ」と云う”

ーー私にとって、幸せとは所詮そんなものだ。

孤独ではないことが、私にとっての幸せ。

仲間や、家族、恋人……大切だと思える人と過ごせる毎日は、幸せだ。

「孤独ではない」、それだけで「幸せ」なのだ。私にとっては。


孤独ではないーー幸せであると、満ち足りた気持ちになる。日常の中で嫌なことがあって、その気持ちが欠けたとしても、すこし経てば、また満たされる。


私の人生は、孤独だと感じていた時期と、そうでない時期とで二分される。

私が孤独だったとき、あのときの私は、どんな私だったか。思い出せそうで、思い出せない。

一度人は孤独ではなくなると、孤独を忘れる。

再び孤独にならない限り、もう孤独を思い出すことはできない。

幸せな人間が、不幸を想像することはできない。

幸せな人間は、今の幸せに浸かる。満たされた私は、どうやっても満たされたまま。

幸せとは、不幸なことに不可逆である。

欠けてもすぐに満たされ、渇いてもすぐに潤う。


孤独ではない、そのように思わせてくれる人たちと出会う。運命的にせよ、偶然にせよ、そういう人たちと、どこかのタイミングで出会う。

人生は変わっていく。孤独ではない自分へと変わっていく。幸せなほうへと変わっていく。

もう不幸ではないし、孤独ではない。

孤独ではない、それは幸福を「得る」こと、と同時に、孤独を「失った」こと。


「孤独ではないこと」を「幸せ」と云った。しかし、幸せとは不幸なことに、不可逆であった。

もう孤独な自分はどこにもいない。

まったくこれは幸せな話である。